江戸時代の線香作りのはなし

江戸時代の線香作り

江戸時代の線香作り

 現代のお線香作りでは、材料を調合したり、形成したりするような工程などで動力式の機械が利用されています。(詳しくは、「お線香作りについて」を参照ください。)しかしながら、江戸時代のような、まだ動力が発達していない時代には下図のような人力の機械が使われていました。

江戸時代の線香作り

江戸時代の線香作り

  
 上図は、お線香を線状に成形するための機械です。

 その仕組みは簡単で、左側の人が棒を使ってローラー部を回すと、テコの原理によって木臼が押され、その下に詰められた桶の中のお線香の材料が圧力で押し出されるようになっています。これを「テコ押し」といいます。
 そして、右側の人が線状に押し出されたお線香をお盆に乗せ、適当な長さでカットします。これを「盆切り」といいます。

 このように木臼を使って線香を練りだすのには、最低2名の人手を要するものでした。2名が同時に異なる作業をするため、ピッタリと息が合わないといけません。人の力と手間、操作の熟練が必要で、とても注意力を求められるものだったそうです。また、「テコ押し」の人は中腰のままで作業をするため、体への負担も大きかったことが容易に想像されます。
 
このような人力の機械から、動力を使った機械に変わったのは早い工場で明治時代の終わり頃、遅いところで昭和に入ってからと言われています。
 「テコ押し」は人力から油圧式に置き換わり、一人で作業できるようになったのは画期的なことでした。また、2人の息がピッタリ合わないといけないということもなくなりました。
 ただ、その仕組みや元型は人力の機械の時代から今も大きな変化はありません。

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